箱またひとつ鍵ひとつ
パンドラの
箱ひとつ
またひとつ
ふたたびひとつ
お預かり申し上げ
お守りする鍵が増えた
これはその方のその鍵
これはあのときのあの鍵
それぞれが
ひとさまの、触れてはならない聖域
ひとさまの、秘めたる傷であり刃(やいば)
その箱を、そしてあの箱を目の前で開けられて
血の臭いにむせたろうか
地獄からこだまする叫びに思わず耳をふさいだろうか
心の臓を深くえぐられ、痛みを感じたろうか
永久(とわ)の時が流れても
発見されることのない場所に
すべての鍵を葬ろう
そして
わたしは記憶を失おう
なにもかも忘れ
無垢な笑顔でいよう
いよう
Help me…