姫は「ゴックン」ができない
姫(88歳義母)は「ゴックン」ができない(ことになっている)。
病院で、ジュースをひどくむせこんでしまったらしく、
以来、ひと月以上もの間、姫は何も口にしていない。
栄養分はすべて、点滴で補給している。
病室の他の患者さんがおいしそうに食べるのに、自分だけ何もない。
うらやましいよね。
食事を運ぶ看護士さんに
「すみませーん、すみませーん、わたしもくださーい」
とねだる。
看護士さんも困るよね。
わたしにも、
「小さくすれば、きっとだいじょうぶ」
などと言う。
気持ちはわかる。
人生から食事を取ったら、何が残るんだろう。
きのう「水」を乞われ、「(看護士さんに)聞いてみてくれないか」と。
だめもとで、聞いてみたよ。
看護士さん、
「スプーンで数滴くらいなら」
とのこと。
(うそー!)
(よかったね、姫!)
コップとスプーンをお借りして、ほうじ茶をいただいた。
「いい匂いでしょ~」
まっさきに、匂いをかがせてあげた。
ほうじ茶ってこんなにいいかおりだったかしら。
歯のあたりに、少し、スプーンで落とした。
「入ったよ~」
と姫。
姫の喉がゴックンと動くのがわかった。
また数滴、スプーンで落とした。
「(ちゃんと)入ったよ~」
と姫。
「(できたでしょ。だから)もっと喉の奥の方に入れて」
と頼まれたけれど、それは無理だよ、むせちゃうからね。
コップをかたづけにいくと、さきほどの看護士さんが
「どうでしたか?」
と。
「ゴックンできましたよ」
と言うと、先生に伝えておきますね、と言ってくれた。
もしかしたら少しずつ、飲んだり食べたりしてもいいことになるかも。
そうしたらおうちに帰れるかも?
そう思っていたら、病院の先生からきょう、電話があった。
「本当は(水などは)ダメなんですよ。
誤嚥があると、肺炎をおこす可能性があります。
医学的には避けた方がよいということ、承知しておいてください」
とのこと。
「喉の奥に入れないように、数滴ずつならいかがでしょうか」
「病室の他の方の食事を、とてもうらやましがるので」
「医学的にも病院としても推奨できないということ、承知の上で、
家族が十分に注意してあげるということでいかがでしょう」
病院の先生は、
「それでしたら(どうぞ)。お気持ちはよくわかりますから」
と言ってくださった。
姫が「ゴックン」できない原因は、はっきりしていない。
脳梗塞のせいかもしれない、ということのようだ。
じきに転院する予定(3か月以上同じ病院にとどまれない)なので、
もう一度調べてもらうかな。
案外、パクパク食べてもだいじょうぶかも。
飲み込むのも体力が必要なんですね。姫様頑張れ、
h,hさん、ありがとうございます!
喉の周りの筋力が落ちて、食道に届けられずに気道(肺)に入ると
誤嚥性肺炎になりやすいようです。
防止には、必ず上半身を起こして飲むことがよろしいでしょう。
飲み込むときに話しかけたりすると、タイミングを間違えてしまう
ことがあるので注意してくださいね。
情報をありがとうございます。
姫のためには無論のこと、この記事をご覧になる他の方のためにも、
必要な情報を書き添える配慮が必要でしたね。命にかかわることですね。
量が増えてきて、慣れてきたら、気を引き締めていっそう注意!
(タイミングを間違えてしまうため)