拘束を解いて、手のマッサージをしてあげたら、
「こっちもやって」
と。(気持ちいいんジャン!ヨカッタ)
お口の中、鼻の中、顔を、請われるままに拭いた。

痛くない?
ここも?
こんな感じ?
姫に聞きながら、「もういい」と言われるまで、続ける。

時間はあるんだ。
時間って、ないと思えばない。あると思えばある。
アリを見つけてしゃがみこんでしまった幼子を待つのと同じ。
時間よ止まれ。

自分でできないもどかしさは、想像に余りある。
寝返りもできず、水も飲めず、看護士さんを呼ぶ鈴もない。
目がかゆいと思っても、手は拘束されていて、かくこともできない。
うなったり、わめいたり、泣いたりするばかりの、同部屋の7人。

隣のベッドのバアチャンが、いきなり、ゲラゲラ笑いだした。
姫の、むきだしの手を見て笑っているのだ。
笑いながら、自分の手を包んでいる手袋を、むしり取ろうとしている。

オラだったらソッコーで脱走したい。
姫と隣のバアチャンを連れて脱走。
ポニョに元気にしてもらってから、ね。