あなたが子どものときにわたしはね。
そう自慢する。
むかしを誇れるふたりがうらやましい。

わたしは過去を見られない。

忙しい昼間はよいが、
眠りにつくまでの間が恐い。
魔物たちがオールキャストで飛び出して、
わたしの中で乱痴気騒ぎ。

金切り声で叫ばぬように、
忘れる作業のくりかえし。

あらかた忘れた。
大切なことも一緒に消えた。

それでも、消し去りきれないものが残り、
ふとんに入ると儀式のはじまり。
忘れる作業のくりかえし。

うっかりよぎった妄想。
今わの際。
「つらい思いをさせたね」
と涙を流して言うのだ。
首を横に振り、手を握るわたし。

心配しなくても、ふたりは涙を流さない。
満ち足りた笑顔で、あの世に旅立つのだ。
ふたりの真顔を見て、確信した。
アレはジョークではない。

まだわたしは
飼っているのだ、狂った犬を。