涙化粧のピエロさん画像 2008.8.23. by Pixia20歳、大学3年生の長男。
5月にひとり立ちしてから3ヶ月。

以来、
葬儀などで会ってはいるものの、
まだ一度も、
「一人暮らしの実像」を
この目で確認したことがなく・・・。

気になって気になって仕方がなく・・・。

ようやっとチャンス到来!
本人の了解を得て
日曜の昼、
夫とふたり、
そろって出向いたのだ!

うちから車で30分。
閑静な住宅地に、彼のアパートがあった。
道を隔てたすぐ前に公園があり、環境グッド。

2階建てアパートの1室。
暮らしやすいよう、整理してあった。
夫が
「あわてて必死でかたづけたのか?」
と笑って聞いていた。

新たにそろえたと思われる家電が、
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、炊飯器、DVDデッキ、プレステ、扇風機。
(すげー!)(リサイクルショップ?)

部屋の間取りは、台所と4畳ほどの部屋。
そして、ハシゴで登るロフトが4畳ほど。

(あたしらの〇十年前の新居より広いじゃん!)

下の部屋にテレビと小机。
ロフトには、たたんだ布団と棚と小机。
ロフトの小机の上にパソコン。
ころがっていたヘッドホンから、下のテレビの音が漏れていた。
ロフトでもテレビを楽しめるよう工夫したんだね。

外に洗濯機があり、洗濯物が干してあった。

夫が勝手に冷蔵庫をあけるもんだから、
「ひとんちの冷蔵庫、勝手にあけたらあかんよ」
と言いつつ、
「いい?」
と息子に聞いて、オラも確認。

ニンジン、たまねぎ、マヨネーズ、焼肉のたれ、卵などが入っていた。
台所に5キロの米があった。

ヤツは自炊している。
自炊するしかないのだ。
お金がないから。

部屋に備え付けてあるエアコンは、
コンセントを抜いてあった。
コンセントは、天井近く。
ロフトのある部屋なので、かなり高い位置だ・・・。


彼は根性ある。
根性だけは、人一倍、あると思う。

今回の引越しも、たったひとりでやった。
業者も家族の助っ人も使わず、うちの車で3往復した。

親からの資金援助は、
大学にあがって以来、学費オンリー。
交通費、食費、教科書代、洋服代など、すべて
長男が自分でやりくりしてきた。

そんな資金環境で!
自立にあたり、
「100万貯めた。半年物件を探してきた。許可をもらいたい」
と切り出しされた。

バイトは、全国チェーンの飲み屋に週3回。
他にはしていない(と言っている)。

どうやって100万貯めたのだろう。
どうやって家電を揃えたんだろう。
どうやって家賃を払っているんだろう。

節約が半端じゃないのだろうな。

彼の部屋は、
心地よく暮らしやすく整って見える反面、
ゼイタクの香りがしない。

つましく、生活を楽しんでいる感じだった。


そんな彼に、わたしたちは
資金援助をしてやりたかった。

夫とふたりで話をし、
それを目的に訪ねたのだ。

最初は、
「いらないよ」
と拒んでいた。

「お守りだから、持っていなさい」
「学校や就職活動をおろそかにしてはいけない」
「病気になったらどうするの」
などと説得したが、
「だいじょうぶだよ」
「(病気になったら)そのときもらうから」
と。

彼は本当にだいじょうぶそうに見えた。
学校もきちんと行き、
バイトもきちんと行き、
お金の計算も、将来の計画も、できているようだ。
もし病気になったら、わたしたちを頼ってくれるのだろうと感じた。

でも・・・。
お金は、夫が無理やりカバンにしまわせた。
大した額ではないけれど、
親として何かをさせてもらえたことがうれしかった。

「しまってくれてありがとう」
と思わずもらした夫の言葉に、
「ありがとうじゃないでしょう?」
と、つっこみを入れたが、
わたしの気持ちも本当は、同じだった。

巣立ってしまったんだな。

うちに帰ってきて、
彼の住まいを思い出しながら
涙がこぼれた。

たくましく育ってくれてうれしい。
でも
さみしい。

追記

お金と食べ物、モノに敬意を払わないお子さまは苦手だ。
ゼイタクに慣れ、それを当たり前に感じている幼稚園児には心が開けそうにない。
貧乏を鼻で笑う小学生はグーで殴りたい。
スナック菓子を食べ過ぎておきながら、夕食を残し、
その場で捨てるような中学生には、たんまり説教をくれてやりたい。

そうした <思い> は、父と母から譲り受けた、わたしの宝物だ。
それをしかと、ふたりの息子に伝えた。 と思う。

たとえ地球が滅亡に瀕しても、息子らは、
仲間とともに生き残るため、知恵と勇気を出し惜しまないだろう。

親として、一番伝えたかったことを伝えることができた。
そう思う。

だったらさみしがるなよ、ね、自分。(涙)